2015年12月13日日曜日

1月例会

日時:2016年1月9日(土) 午後2時半~5時半
会場:同志社今出川キャンパス クラーク記念館 2階 24番教室

【研究発表】

講 師: 佐野真由子(国際日本文化研究センター)
題 目: ラザフォード・オールコックと四つの博覧会

司 会: 稲賀繁美(国際日本文化研究センター)




【読書会】

書 籍: 佐伯順子『男の絆の比較文化史 桜と少年』
 (岩波書店、2015年)

〔内容紹介〕
 日本において“男の絆”は、中世の稚児物語、近世の浮世草子や歌舞伎、近現代の幸田露伴や福永武彦などの小説、そして現代の演劇、映画、漫画に至るまで、連綿と描き続けられてきたモチーフである。さまざまな日本の文化事象に加えて、ひろく海外文化からの影響をも視野に入れて、男同士の絆の表象の系譜をたどり、その背後にある社会的規範のメカニズム、ジェンダーの機能を鮮やかに読み解く。

司 会: 中直一(大阪大学)

2015年11月9日月曜日

第51回関西大会

開催日時 2015年11月28日(土)
会  場 大阪大学 (豊中キャンパス)

大会進行 橋本順光(大阪大学)・小橋玲治(大阪大学)
大会本部 大阪大学文学研究科 比較文学研究室

11:00-11:55  幹事会  《言語文化研究科B棟1階中会議室》

11:30   【受  付】   《言語文化研究科A棟2階大会議室前》

12:00   【開  会】   《言語文化研究科A棟2階大会議室》
司  会    中 直一(大阪大学)  
開会の辞    関西支部長 西 成彦
挨  拶    大阪大学大学院言語文化研究科長 木村 茂雄

12:15-14:10  【研究発表】

【A室】  《言語文化研究科A棟3階講義室》
A-1 (12:15-12:50) 司会:稲賀 繁美 (国際日本文化研究センター)
日本近代出版史における雑誌『美術世界』の意義
――明治二〇年代における考証の一端をめぐって
平井 華恵 (大阪大学・院生)

A-2 (12:55-13:30) 司会:稲賀 繁美 (国際日本文化研究センター)  
『月映』と『白樺』
橋本 真佐子 (大阪大学・院生)

A-3 (13:35-14:10) 司会:林 信蔵 (京都大学・非常勤)
フランソワ・トリュフォーに おけるマルセル・プルーストの影
――映画『緑色の部屋』における「記憶と忘却」のテーマの考察
浅井 直子 (奈良日仏協会)

【B室】  《言語文化研究科A棟2階大会議室》
B-1 (12:15-12:50) 司会:西原 大輔 (広島大学)
国木田独歩訳の『聊斎志異』
陳 潮涯 (大阪大学・院生)

B-2 (12:55-13:30) 司会:中島 俊郎 (甲南大学)  
桜田文吾『貧天地饑寒窟探検記』に見られる英国の貧民窟探訪記の受容
――ジョージ・ロバート・シムズとの関連を中心に
内藤 貴夫 (天理大学非常勤)

14:30-16:30  【シンポジウム】 関西・浄瑠璃・文学
  《豊中総合学館301教室》
企画・司会: ヨコタ村上 孝之(大阪大学)
講師
近代日本文学と(人形)浄瑠璃 
ヨコタ村上 孝之(大阪大学)

自己犠牲という幻想――人形浄瑠璃の女性表象
佐伯 順子 (同志社大学)

素材としての文楽――映画『サヨナラ』から小説『仏果を得ず』まで
橋本 順光 (大阪大学)

文楽の立体化
竹本 小住大夫 (文楽座)

16:40-18:10  【特別講演】 マンガと戦争  《豊中総合学館301教室》
司会:ヨコタ村上 孝之(大阪大学)
講師
里中 満智子(マンガ家、大阪芸術大学)

18:15-18:45  【関西支部総会】  《豊中総合学館301教室》
 司会:橋本 順光(関西支部庶務委員)

18:50  【閉会】  《豊中総合学館301教室》
閉会の辞:北村 卓(大阪大学)

19:00-20:30  【懇親会】  《大阪大学生協豊中福利会館4階食堂》  
司会:小橋 玲治(大阪大学)

2015年8月25日火曜日

9月例会

日 時:2015年9月19日(土)14:30-17:20
会 場:立命館大学大阪茨木キャンパス C472教室(C棟4階)

【研究発表Ⅰ】

講 師:岩津航(金沢大学)
題 目:フォンダーヌとヴォロンカ――二つの『ユリシーズ』をめぐって

司 会:西岡亜紀(立命館大学)


【研究発表Ⅱ】

講師:難波江仁美(神戸市外国語大学)
題目:ミノキチと10人の子どもたち――ラフカディオ・ハーンにおける男性像

司会:遠田勝(神戸大学)

2015年7月11日土曜日

7月例会

日 時: 2015年7月11日(土)14:30-17:20
会 場: 近畿大学東大阪キャンパス EキャンパスA館(文芸学部)308教室

【研究発表】

講 師: 大東和重(関西学院大学)
題 目: 台南文学 日本語文学の一つの経験
〔関連図書〕
大東和重『台南文学 日本統治期台湾・台南の日本人作家群像』
(関西学院大学出版会、2015年3月)

司 会:西成彦(立命館大学)



【読書会】

書 籍: 西成彦『バイリンガルな夢と憂鬱』
(人文書院、2014年12月)

 〔内容説明〕
 本書が扱うバイリンガルはエリートではない。植民地や移民、亡命の結果として、好むと好まざるとにかかわらずバイリンガルであり、あるいはそういった多言語が行き交う状況を、小説という一言語使用が原則の形式で描くという、ある種不可能な命題に挑んだ作家たちである。
 具体的には、アイヌ神謡集の知里幸恵、植民地台湾の複雑な言語状況を描いた佐藤春夫と呂赫若、「故郷」朝鮮からの引揚げ作家、金石範、李恢成ら在日作家、移民国家アメリカの日系人作家などである。とはいえ、ハーンやフォークナー、コンラッド、リービ英雄など欧米の文学の試みと比較しながら、いわゆる「在日文学」「外地文学」としてではなく、「ディアスポラ」によって特徴づけられる20世紀の世界文学として論じている。

発題者:ヨコタ村上孝之 (大阪大学)

2015年7月3日金曜日

第51回関西大会 予告

開催日時:2015年11月28日(土)
会   場:大阪大学 豊中キャンパス
 〒560-0043 豊中市待兼山町1-8 大阪大学大学院言語文化研究科

《研究発表応募要領》

◎ 標記大会の研究発表の申し込みを募集いたします。多数の会員のご応募をお待ちしております。
◎ 発表ご希望の方は下記事項(1~6)をご記入の上、お申し込みください。
◎ なお、発表時間は25分です。

1 氏, 名
2 所属大学または機関
3 発表題目
4 発表要旨(400字程度。原則として電子メールにWordファイルを添付してお送り下さい。やむを得ない場合のみ、郵送して下さい。)
5 発表言語(日、英、仏語のいずれか)
6 E-mail アドレス

* 印刷などの都合上、幹事会の責任において発表要旨の表記を改めることがありますので、ご了承ください。
* 申し込み締め切り:7月3日(金)(必着)
* 申し込み・問い合わせ先:
 「日本比較文学会関西支部事務局」
  〒603-8577  京都市北区等持院北町56-1
  立命館大学文学部 須藤直人研究室
  Tel: 075-466-3241
  E-mail: hikakukansai#gmail.com #を@に改めて下さい
  

2015年6月21日日曜日

会員近著 西原大輔『日本名詩選』

西原大輔『日本名詩選1・2・3』
笠間書院、2015年、各248・232・274頁、各1600円+税内容紹介

〔内容紹介〕
近現代詩入門としての詩歌集〈アンソロジー〉、登場

【本書の特徴】
●鑑賞・注釈を添え、近現代詩の入門に最適。
●時代順に並べ歴史を掴める構成。
●定説に加え、最新の研究成果も盛り込んだ解釈。

〔著者による自作紹介〕
 『日本名詩選』は、明治・大正・昭和の222篇の詩に、鑑賞と注釈を加えた本です。この30年以上、近現代詩の評釈本は、ほとんど刊行されて来ませんでした。広い範囲に目配りができる研究者が乏しく、また著作権使用料の問題が、経済的に出版を阻んでいたものと考えられます。
 しかし、それ以前には、名詩評釈本がいくつか流通していました。これらは1950年代から1970年代に集中しています。

 伊藤信吉『現代詩の鑑賞』(新潮文庫、1952~1954年)
 北川冬彦『現代詩』(角川新書、1956~1957年)
 吉田精一・伊藤信吉・村野四郎『鑑賞現代詩』(筑摩書房、1961~1962年)
 関良一『近代文学注釈体系近代詩』(有精堂、1963年)

 草野心平編『現代詩の鑑賞』(現代教養文庫、1964年)
 小海永二編『現代詩の解釈と鑑賞事典』(旺文社、1979年)


 『日本名詩選』は、上記のような古い名詩評釈本の系譜を受け継ぎつつ、第3巻を昭和戦後の詩のみに特化させるなど、情報の最新化を行いました。
 『日本名詩選』は、題名だけを見ると、純粋な国文学の研究業績のように見えます。しかし、この3冊本には、比較文学的な視点を取り入れています。

 第一に、訳詩を創作詩と対等な作品として扱ったことです。西洋の詩の翻訳を、創作詩より一段低いものと見なすことはせず、自立した「日本の」名詩として積極的に評価しました。
 『新体詩抄』の「グレー氏墳上感懐の詩」、新声社訳「於母影」の「ミニヨンの歌」「花薔薇」、上田敏訳『海潮音』の「落葉」「わすれなぐさ」「山のあなた」「春の朝」、永井荷風訳『珊瑚集』の「そぞろあるき」「無題」、鈴木信太郎訳「都に雨の降るごとく」、さらに堀口大学訳『月下の一群』の「ミラボオ橋」「地平線」「シヤボン玉」「耳」です。

 第二に、アイヌ及び旧植民地朝鮮出身の詩人による訳詩や創作詩を、名詩として評価している点です。
 すなわち、知里幸恵訳「梟の神の自ら歌つた謡」、金素雲の日本語訳による「カフエー・フランス」「ふるさとを恋ひて何せむ」「青葡萄」「猫」、さらに、戦後の在日詩人崔華国の「洛東江」を取り上げました。なお、漢詩の訳として、佐藤春夫訳「恋愛天文学」や井伏鱒二訳「田家春望」「秋夜寄丘二十二員外」「勧酒」も含まれています。

 比較文学の視点を取り入れた第三の点としては、各作品における西洋詩や漢詩からの影響を、なるべく注釈に明記するよう心がけたことが挙げられます。全222篇のうち計104篇に、外国文学からの影響を指摘しました。

 8年間という長い時間を費やし、苦労して作り上げた本です。『日本名詩選』3冊が、日本の近現代詩に関心を持つ愛好家や研究者に末永く愛されることを、私は心から願わずにはいられません。

[日本名詩選1]
何度でも出会いたい日本の名詩。
明治15年『新体詩抄』の刊行の際、「明治ノ歌ハ明治ノ歌ナルベシ、古歌ナルベカラズ」と宣言した新詩形がはじまる。西欧詩と日本古来の詞華の世界が融合し、日本の詩のアイデンティティが確立する時代。

矢田部良吉訳/外山正一/新声社訳/国木田独歩/島崎藤村/土井晩翠/与謝野鉄幹/与謝野晶子/上田敏訳/薄田泣菫/森鷗外/蒲原有明/北原白秋/永井荷風訳/石川啄木/福士幸次郎/高村光太郎/山村暮鳥/萩原朔太郎/千家元麿/室生犀星/堀口大学/西條八十/佐藤春夫/高橋新吉/知里幸恵訳/宮沢賢治/鈴木信太郎訳/北川冬彦/八木重吉/吉田一穂//全76篇収録

[日本名詩選2]
詩人たちの魂の声に耳を傾ける。
戦争や社会問題が詩人たちに刺激をあたえ、詩の黄金期ともいえる19年。新体詩の流れをくむ抒情詩と、最新のモダニズム作品が、激しい葛藤や対立を繰り返し盛んに作られた時代。詩壇は現代へと変化する。

八木重吉/草野心平/高村光太郎/安西冬衛/北原白秋/佐藤春夫訳/金子みすゞ/北川冬彦/田中冬二/三好達治/中野重治/宮沢賢治/河井酔茗/岡本潤/西脇順三郎/萩原朔太郎/中原中也/丸山薫/伊東静雄/井伏鱒二/立原道造/村野四郎/金素雲訳/永瀬清子/山之口貘/全74篇収録

[日本名詩選3]
人生の傍に詩という良き伴侶を。
敗戦から昭和の終わりまでの40年、近代詩と区別し現代詩と呼ばれる本書所収の詩は、今を生きる我々にも繋がる生々しさが溢れている。詩の背後に隠れているものを、深い読みにより浮かび上がらせる。

栗原貞子/三好達治/永瀬清子/堀口大学/伊東静雄/丸山薫/壺井繁治/金子光晴/三好豊一郎/高見順/原民喜/谷川俊太郎/飯島耕一/黒田三郎/村野四郎/中村稔/吉岡実/鮎川信夫/会田綱雄/高野喜久雄/吉野弘/茨木のり子/石垣りん/新美南吉/高田敏子/関根弘/石原吉郎/吉本隆明/山之口貘/三木卓/新川和江/菅原克己/吉増剛造/大木実/荒川洋治/井坂洋子/中桐雅夫/崔華國/入沢康夫//全72篇収録

2015年6月1日月曜日

日本比較文学会 関西支部 役員

支 部 長:西 成彦
庶務委員:橋本順光
会計委員:須藤直人
会計監査:田辺欧・日高真帆
ニューズレター編集委員:加瀬佳代子

* 任期は2015年6月~2017年5月

ブログ担当:大東和重

2015年5月31日日曜日

日本比較文学会 関西支部 幹事

幹  事:
稲賀繁美・岩津 航・大東和重・加瀬佳代子・川島伸博
河村民部・佐伯順子・佐々木英昭・佐野真由子・荘中孝之
鈴木雅恵・須藤直人・田尻陽一・中 直一・中川成美
中島俊郎・難波江仁美・西 成彦・西原大輔・橋本順光
廣野由美子・藤澤博康・彭佳紅・増田周子・山﨑正純
ヨコタ村上孝之

* 任期は2015年6月~2018年5月

2015年4月18日土曜日

4月例会

日時:2015年4月18日(土)15時00分~
会場:関西学院大学 梅田キャンパス 10階 1005号室
 大阪市北区茶屋町19-19 アプローズタワー 10F

【研究発表】

発表者:北村卓(大阪大学)
題目:日本におけるボードレール受容のパースペクティブ

司会:林信蔵(京都大学非常勤講師)


【読書会】

書籍:ヨコタ村上孝之『二葉亭四迷 くたばってしまえ』
 (ミネルヴァ書房、2014年)

〔内容紹介〕
 本名長谷川辰之助。一般には『浮雲』の作者として知られているが、大学教授、新聞記者、実業家、間諜などさまざまな顔ももつ。なぜ彼はいくつもの道を渡り歩いたのか。自己否定を繰り返し、なすべきことを求めてさまよった異形の文学者の生涯を描き出す。

発題者:国松夏紀(桃山学院大学)・溝渕園子(広島大学)

2015年4月8日水曜日

会員近著 稲賀繁美『絵画の臨界』

稲賀繁美『絵画の臨界――近代東アジア美術史の桎梏と命運』
名古屋大学出版会、2014年、786頁、9500円+税

〔内容紹介〕
 「海賊史観」 による世界美術史に向けて——。
 近代以降の地政学的変動のなかで、絵画はいかなる役割を背負い、どのような運命に翻弄されてきたのか。浮世絵から極東モダニズム、植民地藝術、現代美術まで、「日本美術」 「東洋美術」 の揺れ動く輪郭を歴史的に見据えつつ、国境を跨ぐイメージと文化の相互作用を、その接触の臨界に立って考察する。
 『絵画の黄昏』『絵画の東方』に続く三部作の最終巻。

〔著者による自作紹介〕
 帯に「「海賊史観」による世界美術史に向けて」とある。一国ごとのnational historyは、近代国民国家による世界秩序形成に際して要請された。文学は場合によってはそうした枠組みへの批判や反抗の場を提供したのに対し、概して造形美術は国家の威信や国民意識の高揚に用立てられる傾向が顕著だった。さらに日本ならば明治以降の近代国家体制のもとで発達した美術史学や考古学といった学問分野は、こうした国家への貢献を前提として発展してきたという過去を、打ち消し難く刻印されている。そうした知的蓄積を二次元平面に圧縮した文化事象として「絵画」を取りあげ、それが国境や文化圏の臨界において、いかなる映写幕となり、そこにいかなる映像が描かれたかを検証しようとするのが、本著の試みだった、と要約できようか。「美術史の桎梏と命運」と副題に銘打った所以である。
 「海賊」とはしたがって、国境や単一文化圏の境界を横断する存在の暗喩であり、定義からして合法的領域の「狭間」で悪戯をする輩の謂となる。だがそれは、自民族中心主義的な閉域にたいする異議申し立て、という含みとは、決定的な位相差を含むはずだ。既成権力に対する叛逆という以前に、不条理な幾多の隔壁を否応なく非合法的に通過する才覚が、近代と呼ばれる世界体験には不可避の前提条件ではなかったか。従来の国別文化史は、そうした現実を抑圧し、あたかも障壁など存在せぬが如くに遣り過ごすための便法として編まれてきたようにさえ思われる。全球的globalと呼ばれる世界体制も、国民国家群の集合を前提として、その延長上に夢想された「まやかし」ではなかったか。とはいえ筆者は、海賊集団にこそ束の間にせよ理想の民主主義が実現された、などという反世界の夢想に加担するほど楽天的でもない。むしろ西側世界の地球制覇の過程に他ならぬ、この五百年の世界史が、海賊的な非合法性と表裏一体の境涯であったことに、及ばずながらも迫りたい。
 とはいえ、この著作で実現できたのは、たかだかそうした野放図な見取り図の、ほんの断片でしかない。日本美術という枠組みに、微力ながら幾つかの穴を穿ち、その内部を構成する物語の顕揚と洗練とを当然の任務とする学術の前提を、少しばかり掘り崩したにすぎない。東アジアの隣国やインド亜大陸の経験との重層を縦横に解きほぐそうにも、筆者自身の受けてきた教育や教養では、とても太刀打ちなど叶わない。そうした臨界を刊行時点で無残にも露呈している欠陥は覆い難いが、それが次世代の踏み石となれば幸いである。


〔目次〕
プロローグ 臨界は何処にあるのか —— 文化触変の地学的想像力と気象学的観測
序 章 翻訳の政治学と全球化への抵抗 —— 美術史の 「海賊史観」 と 「絵画の臨界」

  第Ⅰ部 内と外からみた日本美術
第1章 挿絵の想像力 —— 西洋舶来の書籍情報と徳川日本の視覚文化の変貌
第2章 西洋の日本美術像と日本の自画像
第3章 近代美術コレクションの形成 —— 日本美術/東洋美術の収集・展示とその逆説
第4章 「他者としての美術」 と 「美術の他者」—— 日本の美術とその臨界

  第Ⅱ部 東洋美術の越境 —— インドの岡倉覚三
第1章 岡倉覚三と 「インド美術」 の覚醒 —— 東洋美術史におけるその遺産と忘却
第2章 『東洋の理想』 と二人の女性 —— ジョセフィン・マクラウドとシスター・ニヴェディタ
第3章 シスター・ニヴェディタと岡倉覚三 —— 『母なるカーリー』 『インド生活の経緯』 を読む
第4章 タゴール、ノンドラル・ボシュと荒井寛方 —— 岡倉覚三没後の展開

  第Ⅲ部 極東モダニズムと東洋回帰
第1章 『白樺』 と同時代の世界的モダニズム
第2章 黒田重太郎と京都モダニズム
第3章 東洋のセザンヌ —— 「革命の画家」 から 「東洋の隠者」 へ
第4章 豊子愷の東洋画優位論とモダニズム

  第Ⅳ部 植民地朝鮮と 「満洲国」 をめぐる藝術
第1章 東洋美術のジレンマ —— 岡倉覚三・柳宗悦・魯迅
第2章 古蹟保存の植民地主義と植民地主義の文化遺産 —— 朝鮮総督府の政策と淺川巧
     とのあいだ
第3章 「化膿」 としての翻訳 —— 土田麦僊・金素雲・梶山季之
第4章 白頭山・承徳・ハルハ河畔 —— 「満洲国」 表象の政治地理学

  第Ⅴ部 文化政策と東西対話
第1章 ブエノス・アイレスの雪舟 —— 島崎藤村の国際ペン・クラブ参加
第2章 小松清とヴェトナム —— 仏印進駐期日本の文化政策とその余波
第3章 矢代幸雄における西洋と東洋 —— 美的対話がめざしたもの
第4章 東西葛藤のなかの詩と彫刻 —— ヨネ・ノグチからイサム・ノグチへ

終 章 歴史のなかの絵画作品の運命 —— 丸木位里・俊夫妻 《原爆の図》 再考
補論1 歴史教科書の善用と濫用 —— 教科書論争と 「視覚的読解能力」
補論2 表象による憎悪を断ち切るために —— 近年の絵画表象研究への批判的鳥瞰
あとがき

2015年3月28日土曜日

会員近著 西成彦『バイリンガルな夢と憂鬱』

西成彦『バイリンガルな夢と憂鬱』
人文書院、2014年、278頁、2800円+税

〔内容説明〕
 本書が扱うバイリンガルはエリートではない。植民地や移民、亡命の結果として、好むと好まざるとにかかわらずバイリンガルであり、あるいはそういった多言語が行き交う状況を、小説という一言語使用が原則の形式で描くという、ある種不可能な命題に挑んだ作家たちである。
 具体的には、アイヌ神謡集の知里幸恵、植民地台湾の複雑な言語状況を描いた佐藤春夫と呂赫若、「故郷」朝鮮からの引揚げ作家、金石範、李恢成ら在日作家、移民国家アメリカの日系人作家などである。とはいえ、ハーンやフォークナー、コンラッド、リービ英雄など欧米の文学の試みと比較しながら、いわゆる「在日文学」「外地文学」としてではなく、「ディアスポラ」によって特徴づけられる20世紀の世界文学として論じている。
 文学の本質に迫る批評であるとともに、ディアスポラ、とりわけアジアン・ディアスポラ研究にも貢献する、比較文学者の著者ならではの野心作。

〔著者による自作紹介〕
 「バイリンガル」という言葉が、モノリンガルな話者のなかに「希望」をかきたてるスローガンのようにして受容されている。また、日本語を母語としない「作家」たちに、その作家自身の「バイリンガル性」に重きを置く形で、脚光があたりはじめている。
 そんななかで、明治以降の日本語文学と「バイリンガルたち」の関係はどうだったか? あるいは、海外に移住した移民たちの「バイリンガリズム」は何だったか? 
 知里幸恵の『アイヌ神謡集』(1923)からジョン・オカダ『ノー・ノー・ボーイ』No-No Boy(1957)まで、「希望」ではなく、むしろ「憂鬱」をかかえこんだ「少数派バイリンガル」の経験を文学がどう拾い集めていったかを丁寧にさぐったつもりだ。
 北海道、台湾、朝鮮、日本本土、米国… それらは、いかに「バイリンガルの地」であったのか?
 そう問うことにより、地球規模で、「世界文学」の主流の座を奪わんばかりの隆盛を示している「ディアスポラの文学」とも比較が可能になってくると考えた。 「各国文学」間の「比較文学」ではない、新しい「比較文学」の形を示す。

〔目次〕
1 バイリンガルな白昼夢
2 植民地の多言語状況と小説の一言語使用
3 カンナニの言語政策
4 バイリンガル群像――中西伊之助から金石範へ
5 在日朝鮮人作家と「母語」問題――李恢成を中心に
6 「二世文学」の振幅――在日文学と日系文学をともに見て